不動産売却で失敗!自宅に「家を売りませんか?」というチラシを本気にするのは、世間知らず!情報弱者を狙う不動産業者

不動産売却で失敗!自宅に「家を売りませんか?」というチラシを本気にするのは、世間知らず!情報弱者を狙う不動産業者

よく自宅のポストに、「限定で探しています」「予算いくらのお客様がいます」 「売却物件求む!」 のチラシが入るので高く売れるのではと錯覚することがあるかもしれません。物件の売却をうながすチラシの危険性と真相について不動産業界歴20年以上のプロが徹底解説していきます。

目次

■「限定で探しています」「売却物件求む!」チラシは嘘だらけの作文?

「こちらのマンションを高額で買います!」「高く買うお客様がいます。」「予算〇〇万円で探しています」「〇〇限定のお客様がいます。」「売却物件求む!」といったチラシを一度は目にしたことがありませんか。このようなチラシや広告には売却をうながす魅力的な言葉が並べられていますが、甘い誘いにつられて連絡すると、あとで後悔する可能性が高いので、注意が必要です。

戸建てやマンションに投函される「おとりチラシ」の裏側について徹底解説していきます。

■「不動産売却物件求む!」チラシとは

まず、戸建てやマンションのポストによく投函されている「売却物件求む」といったチラシはどのようなものかを説明します。

売却物件募集のおとりチラシや広告に記載されているのは、「このエリア限定で購入希望のお客様がいます。」「このマンション限定で購入希望のお客様がいます!」や「○万円で即金買取!」といった、思わず目を引くような言葉の数々です。

ある不動産会社では、不動産会社の担当者が直筆で書いた手紙風のチラシで「〇〇マンション限定で購入をご希望。ご予算は○万円までです」といった具体的な購入希望者像を作文してチラシを作成します。

すぐにでも購入してもらえそうな内容ですが、実は、これらのチラシや広告は作文であることが多いのが現実です。

情報弱者を狙う「高く買うお客様がいます。」「売り物件求む」

■「 売却物件求む! 」チラシの目的

売却物件募集のチラシや広告を見ると、多くの方は「このマンションは人気があるんだ」「この家は高く売れるんだ」と勘違いして、売却を検討してみようと連絡をしてしまうことがあります。

勘違いさせることこそが、おとりチラシの目的です。普通に売却物件募集のチラシを配布してもなかなかひっかかりがないのが現実で、いますぐ高く買ってくれそうなお客様がいるという雰囲気を出して引っかけていきます。

戸建ては、チラシをまくにのに時間がかかるが、マンションの場合、時間がかかりませんので、営業マンがチラシをまいたりDMを投函したりすることもあります。

なぜ嘘をついてまで「売却物件」を探さないといけないのか?

まず不動産業界の仲介業におけるおおまかな枠組みからご説明させていただきます。売却の仲介という視点からは不動産仲介会社には、大手仲介会社中小の仲介会社に大きくわけられます。

大手仲介会社は、売り仲介から入り、両手仲介を目指すビジネスモデルです。

また、中小の仲介会社は、どちらかというと買い仲介から入り、片手のビジネスモデルです。そのため、中小の仲介会社は、新築一戸建ての場合、両手仲介になることから、売り上げを上げるため新築一戸建てをメインとして仲介業を展開します。また買い取りをしたりすることにより、利益率の高いビジネスを中心に傍ら買いの片手の仲介を行います。

売却求むのチラシを投函するのは、大手の仲介会社がメインになります。中小の仲介会社が売却物件求むのチラシをあまりしないのは、ブランド力のない会社が、チラシをまいたところで、費用対効果が合わないからです。大手のブランド力があっても地域に浸透させるだけの広告料を投下しても、反響が出始めるのが半年たってからです。それだけ、根気と資力が必要になります。

売り顧客は信頼についてくる。そして買い顧客は、物件についてくるという側面があるため、中小の仲介会社でチラシをまいて売り仲介から数字を読むということはしません。ただ最近、ポータルサイトで、一括査定から送客される売り顧客からビジネスを展開するケースは存在します。この一括査定もあくまでも送客ビジネスであることは、知っておかなければいけないことです。

■大手仲介会社が売却物件を探している本質は

大手の仲介会社は、売り仲介から売り上げの数字を組み立てていきます。本質は両手ビジネスです。売り物件を探している本質は、両手取引をするためです。これ以上でもこれ以下でもなく両手ビジネスができるかどうかが会社の売り上げに直結していきます。そもそも両手取引を目指すと利益相反するので売りのお客様の利益を奪うことにもつながります。

おとりチラシや広告を使って不動産会社が売却物件を探す理由は、両手ビジネスをするためには、物件をまずおさえておかないといけないということにつながるからです。売却物件が手に入れば、売却の仲介だけでなく物件の買取で2度おいしい再販できる可能性もでてきます。これが専任返しといわれるものです。売却の仲介の片手なら最悪売り側の仲介手数料が手に入り、両手になれば2倍の手数料を確保することができます。物件の買取ができれば再販して囲い込んで2度儲けることができ、再販も両手になれば4倍の手数料をかせぐことができるので、大手の不動産仲介会社は、血眼になって売却物件を探しています。

両手にすることによって売り上げが跳ねていきます。両手にこだわらないといい成績をあげることはできません。片手だけの営業マンより1つの案件だけでも2倍から4倍も仲介手数料が違ってきます。毎月の売り上げのノルマがあるため、両手にこだわらざるを得ないことが背景にあります。自分たちの思いが置き去りになっていることに違和感を感じた場合、裏側にはこういった業界事情があることを知っておかなければいけません。

不動産仲介営業マン目線から考えると、いい物件を多くおさえた営業マンが不動産を制します。いい物件をどれだけおさえたかで、営業マンの売り上げの勝負が決定します。いい物件をおさえないと永遠に浮かび上がることはありません。だからこそそれだけ物上げを必死になって行っています。

売却物件を獲得することを物上げをするといいます。

不動産会社が売却物件を探す方法はチラシだけではない

不動産会社が売却物件を探す方法は、おとりチラシや広告以外にも、DMや電話やメール、訪問やグーグル広告(リスティング)などがあります。

よく利用するのが、ダイレクトメールで、その封筒の中に無料査定の用紙が同封されています。ダイレクトメールは、物件の登記情報から送付します。簡単に誰でも法務局で誰でも取得可能で、どこでローンを組んでいるのか、どれだけローンを組んでいるのかという情報が、日本の法務局では、誰でも見れる状態になっています。届いたDMをみてどうやって調べたのか不思議に思うところもありますが、登記簿謄本は誰でも簡単に法務局で取得できるため簡単に所有者を割り出すことができるということです。

登記簿謄本に基づいてダイレクトメールを送っていますが、営業マンがDMを作成することもありますが、営業所ではなく本社が、営業店のDMをまとめて発送してたりします。

また、不動産一括査定サイトに登録して査定希望者の情報を得ることもあります。

両手ビジネスは、不動産会社の悪質な行為「囲い込み」を生み出す

両手ビジネス自体は日本では違法ではありません。しかし海外では、利益相反するので、法律的に禁止されています。日本では取り締まる法律が整備されておらず、悪質な囲い込みが水面下で起こっています。

そして、囲い込みは、表面化しにくいので、まさか自宅が囲い込みされていると思っている方は世間知らずです。大手だから大丈夫と思っている方もかなり世間知らずです。本質が見えていないと思います。

悪質な不動産会社の「囲い込み」は 不動産会社の仲介手数料の仕組みが生み出しています。その背景にノルマがあります。

上記で説明しましたように、売り物件の売却依頼を受けると不動産仲介会社は、両手取引の場合、売主と買主、それぞれの仲介で仲介手数料を得ることができます。

物件を探している買主は、気に入った物件を紹介してくれる不動産会社で購入することがほとんどです。 だから、他社のお客様で決まらないように動いていくのが物元業者の腕となります。 中古物件で専任で依頼された場合、必ずレインズ登録されるので、本来、先に営業マンを選んで、任せた営業マンに紹介してもらう形が自然な形です。

売却を依頼する売主は、売却を依頼する不動産会社と媒介契約を結びます。不動産仲介会社の営業マンは、1社の不動産会社としか契約することができない専任媒介あるいは専属専任にあらゆるトークを駆使して誘導していきます。売主を捕まえれば確実に仲介手数料が得られ、両手になれば2倍の手数料を得ることができるからです。

両手仲介なら仲介手数料は2倍になる

1つの不動産会社が、買主と売主、両方の仲介をすることを「両手仲介」といいますが、買主もしくは売主のどちらかだけ仲介に入る場合は、「片手仲介」といいます。この両手仲介、片手仲介を理解せずに不動産を売却することは恐ろしいことです。両手仲介は得られる仲介手数料が2倍になるため、不動産会社は血眼になって売り物件を探します。この両手仲介を実現するためにも、売り物件を確保していなければいけません。確保していない時点で、両手取引は不可能です。

だからこそ、不動産会社はあの手この手を使って、売却物件を手に入れようとしているのです。

不動産流通の仕組みは最低限知っておこう。
そうすれば、営業マンの真意が見えてきます。

仲介会社は必ず専任媒介か専属専任媒介を薦めます!

両手取引を禁止していないため、営業マンのモラルでは歯止めが効かず両手仲介を狙う営業マンの悪質な行為が「囲い込み」が横行してしまっています。営業マンのモラルでは歯止めが利かない大きな理由は過剰なノルマが一番大きな理由となっています。業界の体質的にノルマがなくなることはありません。両手取引が禁止されない限り、囲い込みは永遠になくなることはありません。

囲い込みとは、売却の依頼を受けた不動産仲介会社が、自社の買主を見つけて両手仲介にしたいがために、ほかの不動産会社からの購入希望者の紹介を商談中とかよくわからない理由をつけて勝手に断ってしまう行為を指します。

囲い込みをされると、売り時を逃します。あるいは、好条件の買主を逃すことにもつながります。探しているお客様がいますといったおとりチラシや嘘の広告が頻繁にポストに投函する不動産会社ほど、囲い込みは間違いなく水面下でやっていると推測されます。正直、大手ほど両手取引の意識を強いとうのが経験上、強く感じます。中小の営業マンはどちらかというと、売却依頼を受けることが少なく、取り扱いになれていないという方が正確かもしれません。

大手ほど両手取引を狙っている

売却依頼した業者だけが販売するのではない

不動産流通の仕組みを理解していると、簡単に理解できますが、中には、売却依頼した業者だけが販売すると思っている方がいることに驚かされることがあります。

例えば、専任媒介で依頼を受けた場合、7営業日以内にレインズに登録しますが、レインズに登録すれば、すべての不動産会社のすみずみの営業マンにまで認知され、その営業マンにお客様がいれば、紹介して案内して契約することができます。だから依頼した会社だけが、営業するのではなく、ほかの会社の営業マンも営業活動を行っていきます。

買主側の仲介会社は、買主様より仲介手数料をいただき、売主側の仲介会社は、売主様より仲介手数料をいただいて、仲介業を行うことになります。これを「別れ」の仲介と言います。

おとり広告で連絡してしまった場合、 高い査定額を提示され売却をすすめられる

おとり広告に騙されて連絡をしてしまった場合、どうなってしまうのかご存じでしょうか?基本的に、囲い込みは、水面下で行われるため、そのほとんどは気づくことはありません。

相場とかけ離れた高い査定額を提示され、それを信じてしまい売却をすすめられる

おとりチラシにのせられて連絡をした場合、まず不動産仲介会社の担当者から相場とかけ離れた高い査定額を提示されることがあります。なぜなら、不動産流通の仕組みをよくわかっていない売主は、本気でその金額で売れると勘違いして、高い査定額を提示した仲介会社に売却依頼を任せる可能性が高いためです。その気になってテーブルにのってくると強引に売却をすすめられます。その際、「すぐに高く売れる」「今なら売却代金で条件のよい住み替えができる」といったおいしい話が持ち出され、つい売却を承諾してしまうケースがあるのです。

結局、ある程度月日が経ち気づく方も!結局、売り時を逃し、安く売ることになってしまう!

相場とかけ離れた高い査定額で、巧みな営業トークで口車にのせられて売却することになったとしても、その額で売れることはなく、営業マンも売れるとは、思っていません。その後、不動産仲介会社の営業マンから値下げの提案を当たり前のようにしてくることになり、どんどん値段を改定していき、思っていたよりも低い額で売らざるを得ない状況に追い込まれるかもしれません。

営業マンの値下げ要求のことを、業界用語では、「値ごなし」といいます。今月、何件、値ごなしをしたかも、営業マンの評価につながります。

高値の査定には注意!売れなくても仲介会社は困ることはない!

また、不動産仲介会社によっては売却の際に「買取保証」をつける営業トークがあります。簡単に言いますと、仲介で売りに出して一定期間(6ヶ月くらい)売れなかった場合、不動産会社が買い取るというものです。親切な仕組みのように見えますが、買取価格は相場価格の7割程度であることがほとんどのため、結局売主が損をして売らざるを得なくなります。

本気で確実に適正価格で売りたい場合、どうすればいいのか

では、本気で確実に売却したい場合はどのようにすればよいかですが、一番は、相場をきっちり調べ上げ、準備しておくことが大切です。きっちり、準備して、理論武装して対抗するしかありません。相場がきっちりわかっていれば、逆に営業マンがどういう意図でトークしているかも推し量ることができます。

結局のところ、不動産仲介の営業マンは、雇用形態に関係なく個人事業主であり個人経営者でもあります。個人の能力だけで取引のすべてが完結してしまいます。考え方の合う営業マンを探すことが売却の第一歩かもしれません。

大手仲介会社の営業は、エリアで営業マンを分けています。そのエリアを担当する営業マンが、キャリアが浅くて、頼りなくてもその営業マンが担当することになります。エリアで営業マンを振り分けている理由は、査定で勝つためです。エリアを深堀してそのエリア知識を深めて信用を勝ち取るためです。だから、担当するエリアのことしかわからない営業マンが多く、買い替えとかで、少し離れたエリアで物件を紹介してほしいと思っても動きが鈍いかもしれません。

STEP
売却のおおまかなプランを考える

重要となるポイントは、売却の目的と期限(いつまでに売るか)を明確にすること、売却に必要な情報(相場価格)を集めることです。 売却の目的が「高く売る」ことなのか「早く売る」ことなのかによって、スケジュールや目標価格が異なってきます。軸となる目的は明確にしておかないと、ベストな売却戦略を考えることができません。

STEP
相場を徹底的に調べる

自分でも相場価格を調べておくことが大切です。査定前に調べておけば、不動産会社が出した査定額が適切かどうかを判断することができます。 現在売り出し中の物件は、値引き分を見込んで相場よりも高めの価格が設定されています。売り出し価格とにらめっこしていてはいつまで経っても売れません。本当に売れる価格を調べたいのであれば、成約価格を軸に考える必要があります。

STEP
営業マンを探す

おとりチラシを使うような営業マンが、真摯に売却活動してくれる可能性は低く、やることといえば、レインズに登録するだけの可能性は高いです。できれば2,3社以上の不動産会社に売却の相談をして、信頼できる営業マンに売却を依頼することがおすすめです。 売却査定サイトで査定した場合、査定額が高く売り時を逃すリスクがでてくるので注意が必要です。

STEP
信頼できる営業マンに売却依頼をする

結局のところ、仲介の営業は、営業マンの独自の力に帰属するので、どの営業マンに任せるのかという視点で、依頼先を探さないといけません。

まとめ

高く買うお客様がいます」「売り求む」といったチラシや広告は不動産会社が売却物件を集めたいための作文をあの手この手で行い、連絡をしたところで、高く売れる可能性はかなり低いといえます。

必死で物上げをしているということは、囲い込みにあったりする可能性が高いので、結局、低い金額での売却になってしまう可能性が高くなります。そうならないように、特に高い金額で査定してくる営業マンには注意が必要です。

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この記事を書いた人

【業界経験】不動産業界20年目です。
マンションデべロッパー、大手仲介会社(住友)、大手建売会社(飯田グループ)を経ておりますので、マンションから土地・戸建・収益まで納得いく選択をサポートします。生涯のパートナーを目指して頑張ります。

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